【お役立ち情報メニュー】ミュゼプラチナムと言えばリーズナブルが魅力ブログ:19年05月28日
7年前に母が、続いて3年前に兄が亡くなった。
それまで自由気ままに
結婚もせず、遊びまわっていたあたくしも、
さすがに一人実家に残った病を抱えたパパを思い、
約20年ぶりに実家に帰った。
母が健在の頃から、
お酒を浴びるように飲む兄と両親の仲は、
しっくりいかなかった。
そして母がクモ膜化出血で倒れ、
約二ヶ月の闘病の末亡くなった後は、
パパと兄の関係は修復しがたい程にこじれていった。
母の死を自分のせいだと自らを責め続ける兄には、
お酒以外に逃げ場が無かったのかもしれない。
酔っては暴言を吐き暴れる兄を、
パパは悲しい目で見ていた。
そんな生活が災いして、兄も亡くなった。
パパは「悲しいけれど、正直ホッとした」とあたくしに言った。
あたくしは、実家に戻りしばらくたってから、
母が亡くなって以来そのままになっていた、
家の中の片付けを始めた。
そんなある日見付けた手紙の束の中に、
パパから母にあてた手紙があり、
あたくしはパパに内緒でそっと開いてみた。
それはあたくしが生まれて間もなく、
パパが出稼ぎ先から出したものだった。
内容は
「たまにしか会わないので、
子供たちが自分の顔を見て泣きだしたのがショックだった」とか
「早く一緒に暮らしたい」とかたいした内容では無いのだけれど、
家族に対する愛情が溢れていた。
あたくしは涙が止まらなかった。
兄が生きている間に、ひと目見せてやりたかったという気持ちで、
胸が一杯になった。
仏壇の隅にパパの目にふれぬようにそっと手紙を置き、
心の中で
「兄ちゃん、あたくしたちはこんなにも愛されて育ちましたよ」
とそっと呟いた。
そして、パパも昨年亡くなり、
あたくしは本当に一人きりになってしまった。
でもあたくしの前には、3人の写真が有り、
今も3人からの愛情を感じている。