【お役立ち情報メニュー】注目されている銀座カラーの全身脱毛コースブログ:20年05月17日
ぼくが生まれて初めて経験したお葬式は、
母のお葬式でした。
母は病院で亡くなりました。
ベッドの横に立つ父と姉達の後ろに
ぼくはぽつんと立っていました。
下の姉が急に大きな声で泣き出したとき、
「あっ、お母さん死んじゃったんだ」と思いました。
ぼくは母が入院中、
父と一緒に何度もお見舞いに行きました。
でも、なかなか病室に入ろうとしませんでした。
ぼくはいつも廊下の隅や、
非常階段のおどり場で遊んでいました。
病院のベッドに寝ている母を見るのが
とても恐かったからです。
ある日、ぼくは父に呼ばれ、病室に入っていきました。
母は「リンゴむいてあげようか?」と言いました。
ぼくが覚えている母の最後の言葉です。
ぼくは「いらない」と言って、
また病室を出て行ってしまいました。
ぼくは病院の中を探検しながら、
「大きなお部屋にはたくさんの人がいるのに、
どうしてお母さんは小さいお部屋に一人でいるのかなあ、寂しくないのかなあ」
と思っていました。
今思えば、きっと母は、
淋しかったのだと思います。
ぼくが最後までなつかなかったことが…
8月ももうすぐ終わり、
新学期が始まるというのに、
ぼくはまだ夏休みの宿題も終わっていません。
それなのに、
黒い服を着た人たちが出たり入ったりと、
家の中はごった返しています。
ぼくの居場所がないのには困っていました。
テレビを見ることもできず、部屋の隅で
ちょこんと一人で遊んでいるしかありませんでした。
「かわいそうに、まだ小さいから、お母さんの死がわからないのねぇ…」
という大人達の話し声が聞こえてきました。
ぼくは「わかるよ、そんなこと」と
心の中で呟いていました。